独立FPの独白ブログ

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⑩クロージング・テクニック


営業の世界ではお客さんに契約の決断を促すことをクロージングと言いますが、思えばあまり良い言葉ではありませんね。お客さんを最終決断まで導いて幕を閉じるということなのでしょうが、本当は契約決定時点から本当のサービスが開始されるのであって、むしろスタートで無ければいけないと思います。
営業の最終目的が契約の獲得であるという本音をズバリ表した正直タームではありますが、私は好きにはなれません。


前回にお話した「小さな同意の積み重ね」もクロージングテクニックのひとつですが、もうひとつ分かりやすい、しかも実際多くの現場で使われていると思われるのが「二者択一法」ですね。
(もちろん商品によっては3種類以上のこともあり得ます)


「A」という商品やプランを説明してその採用を促すのではなく、あえて「A」と「B」の二つをその違いを含めて説明して、どちらが良いですか? と問いかけます。
「A」を買うのか買わないかという選択なのではなく、「A」と「B」のどちらなら買うか、と聞くことで相手は「買う」という前提に立って選択する気分になっているだろうという訳です。


もちろん、これも相手を心理的に追い込んでゆくテクニックなので、いかにも追い込まれているようだと感じさせてしまえば逆効果にもなるでしょう。


この応用で、高いものを高いと感じさせないために選択肢を提示するやり方もあります。
最終決定の金額が2万円くらいだろうと想定したプレゼンテーションの場合に、あえて高めの2万5千円のプランを並べて見せることで2万円をさほど高くはないというイメージを作り出します。


さらにテクニカルな手法で「イエスの連鎖」があります。
相手が「イエス」と答えるような質問を連発して行くと、知らぬうちに肯定的な雰囲気に包まれてしまって、ではご契約頂けますか? との最後の問いかけについつい「イエス」と言ってしまう、と言うわけです。
ここまで来ると、なんだか催眠商法かなにかのような印象すら持ちますが、セールスの世界ではあの手この手でお客の心理を上手くついた手法を繰り出してくるのですから、買い手の側も少しは勉強しておいたほうが良いかも知れませんね。