独立FPの独白ブログ

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■『ABC殺人事件』再読。

おそらく30数年年ぶりではないかと思いますが、クリスティの「ABC殺人事件」を新訳版で読みました。ストーリー展開も結末もすっかり忘れていて、本当に読んだのかどうかさえ判然としないような有様でした。
「古きよき時代の推理小説」気分を味わうには充分にその役目を果たしてくれましたし、これからも時々クリスティは読むことにしようと思ったのでした。


この小説もアクロイド事件やオリエント急行殺人事件のように推理小説のひとつの類型を後世に残したほどの作品で、その構成はミステリファンの間では「ABCパターン」と言われているようです。(どんなパターンなのかはネタばれになるので触れません)
おなじみの「ポアロヘイスティングス」コンビの微妙な会話もあり、関係者を集めてポアロが犯人を追い詰める最後の審判場面もありで、オーソドックスなポアロものの楽しさを味わえるクリスティの代表作ですね。(クリスティ18番目の長編だそうです)


ひとつだけ残念だったのは、期待を持って”新訳”を買い求めて読んだのに、訳しかたに違和感を覚えることが多く(不自然な言い回しなど・・・)、わざわざ昔の翻訳本を引っ張り出して読む破目になったことでしょう。意訳というのはなかなか勇気がいるのだろうことは理解できますが、もう少し何とかして欲しかった・・・。翻訳ものはこれがあるので、多少慎重になってしまうのです。翻訳家は小説家以上に小説を沢山読んでセンスを磨いておいて頂きたいものです。


それでも、結構満足できたので、この10年くらいの間読んでいなかった海外物のミステリもまた少しずづ読んでゆこうと思ったのでした。
(そのあとはコリン・デクスターのモース警部ものを読み始めたところです)


あえて、別の翻訳家による創元推理文庫です

ABC殺人事件 (創元推理文庫)

ABC殺人事件 (創元推理文庫)