明烏(あけがらす)という噺は昭和の名人・八代目桂文楽の最高傑作ともいわれる噺です。
桂文楽という人は本当は七代目なのに縁起を担いで八代目を名乗ったのだそうです。
(結構イイカゲンです)
また、その昭和の大名跡である「文楽」を継いで九代目となったひとが、ぺヤングソース焼きそばの先代のCMキャラ、あの桂小益さんだったと言う事実を知って申し訳ないですがかなり驚きました。
それはそうと、私が先ごろCDを買って聴いたのは文楽師匠ではなく古今亭志ん朝さんの明烏です。この志ん朝さんの明烏は1981年に7日間17席連続口演というライブで人気投票ナンバーワンとなったのだそうですが、非常によく出来た明るく楽しい一席だと思います。
以前に「堀の内」という噺の案内で志ん朝さんの特徴はそのテンポにあると私は言いましたが、もうひとつの特徴は演じ分けの上手さではないかと思っています。
主だったところだけで5人の人物が登場しますが、その性格、職業、育ち、人物についてそれぞれが本当に上手く演じ分けされていると思います。
円熟期(高座に上がるだけで笑いが起こる)の志ん生さんの高座などでは、どっちが男でどっちが女か良くわからないことが時々あったりしますが、志ん朝さんにはそういうことはまずありません。
いかにも江戸っ子職人のべらんめい口調のすぐあとに、若旦那のひ弱そうな甘え声、さらに続けて花魁(おいらん)の艶っぽい声色、などがとっかえひっかえ登場し、それらの表情が声を聴いているだけでも浮かんでくるのですから、志ん朝さんは実にもう天才的なのです。
「崇徳院」の恋煩いで臥せっている若旦那と並んで「明烏」の若旦那は絶品と言えると思います。 志ん朝さんは本当にウマイ!!
- アーティスト: 古今亭志ん朝
- 出版社/メーカー: ソニーレコード
- 発売日: 1993/12/01
- メディア: CD
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