独立FPの独白ブログ

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⑤営業研修だけの1ヶ月

  • まるまる一ヶ月の初期研修

保険会社の外務員は毎月採用されるのが普通で、同じ月に入社したものを同期といいます。私の同期は全国で16名でしたがなんとその内の6名が同じ支社での入社でした。
当時総勢12名位いの支社に6名も新人が入ってきたのですからなんというか、小学1年生みたいにザワザワしていて、時期もたまたま夏休みシーズンだったこともあって、明るく前向きな雰囲気に溢れた楽しい日々だったことを懐かしく思い出します。
支社で行われる研修も実にワイワイと楽しいものになりました。今思えば、バブル成長の真っ盛り、年号変わって平成の初めの年、世の中の右肩上がりムードにも後押しされて、転職後の不安よりも期待度のほうが勝っていたように思います。


つい先日書棚を整理していると、この時の初期研修のノートが出てきて、当時を懐かしく思い出しつつ読んでしまいました。生命保険営業のおかしなこと、問題点、これからの課題などについての記述を読み、17年もたった今でも、生命保険営業現場の問題点はほとんど変わっていないことに驚かされました。


また当時、これこそプロとして目指すべきものと信じた保険の考え方などについても、17年経っても大きく変わることはなく、やはりその考えは間違っていないのだと実感したのでした。始めの1ヶ月はまるまる研修に没頭しました。支社によっては、まだ募集人登録をしてもいないのに、営業活動(契約のための準備)マガイの行為をさせる支社もあると聞きましたが、私達の支社長は大変真面目なひとだったため、そういうことはなく、みっちりと研修を受けていたというわけです。


当時外資系であったこの会社ではその営業研修の元ネタが英語版であるものも多く、日本語吹き替え版の教育ビデオも沢山ありました。そのなかの一番印象に残っているのは、トニー・ゴードンという英国の保険セールスマンの講演ビデオです。
生命保険の営業マンが販売の現場で遭遇する様々な困難な出来事や世間の誤解のこと、成功譚や失敗談など、ユーモアを交えて語られる示唆に富んだスピーチは強烈な印象で、いくつもの言葉が今でも記憶に残されています。


長年の苦労の末に成功したトニー・ゴードンの示唆にとんだ講演ビデオはダビングしたものが今も家に保存してあります。また、入社5年目にしてようやくたどり着いたMDRTの米国研修会で、このトニー・ゴードン氏本人と握手を交わした時の感激は忘れ難い思い出です。彼の名刺は擦り切れないようにパウチ加工をして、今も私のお守り代わりとなっています。


トニーゴードンの講演のほかに、もうひとつ強烈な印象を残したビデオがあります。
こちらは、外資系のイメージとはまったく逆の泥臭い、商売人の物語で、今も多くの会社で営業研修などで利用されているらしいドラマのビデオです。


近江商人の家に生まれた男の子が商売の修行を通じて商売人の魂を学んでゆくストーリーで「てんびんの詩」と題されたこのドラマは、1984年に制作されたらしく、その続編を含めて3本が現在も販売されているようです。ひねくれた人には「いかにも」系、「これでもか」系のクサイお芝居に見えるかもしれないこのドラマに、研修を受ける我々は感動の涙にくれることになりました。泣けるものは泣けるので、仕方がありません。
最近流行の拝金主義にまみれた人達を全員並ばせてこの映画を見せたいものです。


映画「てんびんの詩」