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独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

■会社が私に掛けている保険がある?

【 企業が従業員にかけた団体生命保険の保険金を遺族が受け取れるかが争われた訴訟の上告審弁論が最高裁であった。遺族側は「保険金で企業が利益を得ることは許されず、全額遺族に引き渡すべき」と主張し、企業側は「団体生保の収支は赤字だから引き渡す必要はなく、遺族の生活は退職金の支払いで保障している」と反論した。】

・・・というニュースがちょっと引っかかりました。

私は訴訟の詳細を理解できていませんので、裁判についての論評はしませんが、生命保険契約の一般的な制度、規定などから考えると、このニュースで言われていることには首を傾げてしまう部分が多いのです。


記事の前段での「保険金で企業が利益を得る事は許されない」と言う理屈がまず少し変だと思います。生命保険の目的は人が死んだ時に利益を得ることではなく、死亡で発生する損失を補填することです。 企業にとっての優秀な人材が失われれば企業が利益を失う(逸失利益)場合がありますので、その損失を保険でカバーすること自体は不自然なことではありません。
コストは企業が負担しているので、従業員に迷惑も掛かりません。
それとも死亡しても会社が困ることは無いはずという主張なのか、このあたりどうもよく分かりません。

(「オレが死んだって会社は困んないっすよ」という突っ込みはしないで下さい。)


また、反対に企業側が「団体生保の収支は赤字だから引き渡す必要はない」という部分も何のことかよく分かりません。死亡弔慰金や死亡退職金などの諸手当が就業規則などで規定されているのなら赤字黒字に関わらず支払うべきだというだけだと思います。


ここからは昔、誰かから聞いた話で、詳細の記憶はありません。(本当です)
保険会社の営業マンがノルマが足りないと追加契約を貰いに企業に行き、団体生命保険を少し増やしませんかと提案する。
自社株式の大株主でもあるその保険会社に対して、良い関係を保つべくお付き合いをするために、社員の署名や捺印無しでも契約できる方法で契約する。


本当は死亡時の保障がさほど必要なわけでもないが、お付き合いで契約する。お付き合いでは合っても保険料は経費に算入できて節税効果があり、また万一従業員が死亡した場合には会社にお金が入るのだから損はしないし、なにしろ安定株主の確保の面が大きい。
・・・というような関係で企業契約の保険営業は成り立っている、という話しを聞きました。


私自身も少数ながら企業の保有契約がありますが、みんな、それぞれ目的があり、その目的に合った保険種類と契約形態で契約しています。ある企業では従業員死亡時に受け取る保険金の半分を遺族補償として支払う社内規定を作成して、制度として利用しています。


またある会社では死亡退職金制度を設けたうえで死亡保険金受取人を従業員の家族に指定していますので、死亡保険金は保険会社から直接従業員の遺族に支払われます。
さらに、死亡ではなく無事に定年を迎えた場合はその満期金などを原資に従業員への退職金として支払うことも規定に盛り込んであります。


会社が社員にかける生命保険はこのように規定や社内規則と連動して遺族の生活保障や、企業の損失をカバーするように目的に合わせて契約すべきであり、そうしておけば死亡後に揉め事の起きる予知は無いはずなのですが。どういうことなのでしょうか。


蛇足ながら、保険金を巡るこうしたトラブルや保険金目当ての犯罪などの多発を受けて、企業が社員や役員に掛ける生命保険については、昔とだいぶ様子が違っています。
最近は本人の意思の確認や受取人の存在の確認など、以前は省略できていたことなども、かなり厳密に制約を受け、確認義務など厳しくなってきています。


皆さんも、お勤めの会社でご自身を対象として契約している保険があるのか無いのか位は、確認しておいて当然と思います。はい。