独立FPの独白ブログ

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■心を扱うミステリ

松岡圭祐著:「催眠」「後催眠」「カウンセラー」(心理カウンセラー嵯峨敏也シリーズ)と3冊続けて読んでしまって、これは昨年の森博嗣氏のS&Mシリーズに続いて、同一作者10冊連続ハマル症候群に罹ったかなと思いました。


買い込んである松岡・本は千里眼シリーズの2作目、3作目なのですが、このシリーズは嵯峨俊也シリーズの抑えた感じと比べてかなりのハチャメチャ・アクションです。
この雰囲気はチョットお休みにして脇見をしてみたくなって読んだのが、首藤瓜於氏の江戸川乱歩賞受賞作「脳男」です。


松岡氏の小説に登場する心理学情報、人間の心と感情についての様々な記述に刺激された私としては、全く未知の作家であるこのひとの小説では、どんな視点で脳とか心とか感情について語られるのかという興味もあって読みたくなったのです。


ネタばらしとなってしまうので、脳男とはどんな人間なのかについて触れることはできませんが、主人公は私としては初めて見るタイプのキャラクターで、なかなか興味深いものがありました。
こういう人間が存在する可能性があるのかどうか、科学的根拠があるのかは知りませんが、最近の信じ難いようなサイコ犯罪的な事件の報に触れるたびに思う、人間の心のもろさや不可思議さや感情の繊細さ奇妙さへなどについて、またもや考えてしまうきっかけにもなりました。


聞けば世間では心理学ブームだそうで、学術誌ではなく一般誌としては日本で初めてだという雑誌も昨年末に創刊されましたね。
戦後経済成長期に失われた沢山のもののひとつに「心を感じる心」も含まれていると思っています。学校でも教えてくれず、親からも教わらないまま、心が育たぬまま成長してしまう人が少なからず出現する今の日本では、当分、心と感情を扱うものが全ての分野で増え続けるのではないでしょうか。


脳男 (講談社文庫)

脳男 (講談社文庫)