独立FPの独白ブログ

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■目標達成至上主義

今朝のニュースですが・・・
【損保ジャパンと第一生命保険は14日、損保ジャパンの社員計280人が提携先である第一生命の商品の販売で、契約者が払うべき保険料を立て替えるなどの違法行為をしていたと正式に発表した。発表によると、保険料立て替えは02年2月〜05年8月に366件。金融庁の監督指針に反し、代理店の代わりに社員が契約を取り、代理店が販売したと偽ったケースも65件あった。損保ジャパンは、役職員計527人に厳重注意などの処分を、第一生命は役員ら3人の処分を実施済み。両社は「連携して法令順守の取り組みに改善を加える」とコメントした。】


このニュースをまるで他人事だと感じる保険マンはおそらくいないでしょう。
「保険料のご負担は不要ですので、ご契約だけお願いします」
とでも言って契約者にはサインと印鑑だけ貰い、契約者に代わって保険料を負担していたということなのでしょうか。具体的には全然分かりませんが、昔からよくあることです、とラジオである弁護士さんが発言していました。

当たり前ですが、私にはこういう行為を行った経験は全くありませんが、こうしたことが起こってしまう背景、事情は良く理解できます。


保険の営業拠点では、よくキャンペーンというのをやります。多くの保険会社で春夏秋冬すべての季節になんらかのキャンペーンを展開しています。
年度始めはスタートダッシュ・キャンペーン、年末は締めくくりキャンペーン、年度末は最後の追い込みキャンペーン、今ならきっとトリノ五輪キャンペーン・・・それらに加えて1年中やっているキャンペーンもあります。(こうなるともはやキャンペーンと言えないと思いますが)


保険会社の外務員であった9年間に、年に2回約6週間程度の短期キャンペーン(コンテストなどというのですが)が17回あり、そのうちの7回に入賞したはずです。7回しか入賞しなかった、というのが正しい表現でしょう。
始めのうちは、実力主義の世界である以上、目標設定があり、それに向かって最大限の努力をするというのが正しい自己行動管理であると思っていた時期もありましたが、4、5年経験して以降の私は、この短期キャンペーンが心から嫌いでした。9年目で独立した理由の半分はこのことだったかもしれません。


短期のキャンペーンの入賞を実現するするために、ついついやってしまうことの多くは、私の考える本来あるべき保険営業の姿と矛盾していました。私だけかも知れませんが。
キャンペーン期間中であっても、日頃の努力をそのまま継続して普段どおり活動すれば、結果は自然と付いてくる、などと言うのは奇麗事なのであって、結局はこの期間中に契約を集中させるような手段をどうしても取ってしまうのです。まあ、やった人にしか分からないとは思いますが。


例えば、まだジックリ検討したいと本音では思っている人に対して「なんとかして今週中に契約の意思を決めてもらうために色々な話をする」とか「健康なうちに加入するべきだ」という言い方を普段より強調するとか、既に意思が固まっている人に対して敢えてキャンペーンの期間まで契約を延ばしてもらうとか、もっと落ちれば「なんとかお願いします」などということにもなるのです。(これだけは私はやったことはありません)
保険は契約者の側から入りたいと申し込んでくるのが筋であり、売る側がお願いして「入ってもらう」ものでは決してありません。


キャンペーンとかノルマ競争というものは営業の世界にはどうしても避けられない現実だというのは充分に理解できますが、私の思うところでは、保険の世界ではできればこの習慣を早くやめた方が良い、そうでなければ、今回の問題のような自体はいつまでも無くならないような気がします。
私は、自分が常に正しいスタンスで気持ちよく仕事できるようになるために、そしてお客様に決して変な迷惑を掛けないようにするために、提携する全ての保険会社に「キャンペーンが嫌いです」と宣言しています。いつもいつも言っているので、大抵は諦めてくれているようです。


当社は販売キャンペーンを一切取りやめました、と宣言する保険会社が登場したりすれば、結構感動すると思いますが・・・・ないかなあそれは。