独立FPの独白ブログ

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■アメリカ保守革命

ブッシュ政権のアメリカがあれほど乱暴に戦争を始めてしまったのは、ただ石油利権や市場開放の経済的利益のためだけでは無いのではないかと思っていました。


世界全体を自由主義化すること、民主化させることが唯一の世界正義だと本気で信じているらしい人達は、一体どんな思想的主義主張をバックボーンとして持っているのかを知りたいと思いました。
主たる目的は本当は経済的利益の獲得であったとしても、世論やあらゆる階層の一応の承認のもとに成される国家の行為には必ず何らかの思想的な背景を必要とするでしょう。
それはこの国においてはどんなものなのだろうと漠たる疑問を持っていたのです。


アメリカの本質を見極めるとまでは行かずとも、少なくとも現在のアメリカの「錦の御旗」であるらしいネオコン思想(特定の団体という意味ではなく新保守主義という概念を含めて)を知りたいと思い、あれこれ最新の書物を物色した結果、これかなと思って買ってみたのがこの本です。


何しろ、思想などというものに生まれてこの方ほとんど関わりを持たずに生きて来たノンポリ男の私です。 保守とかリベラルとかの基本理念すら知らない私としては、いきなり分厚い思想史の本など読破できるはずもありません。
平易な記述で、しかもアメリカの保守主義を体系的に俯瞰するような本を探していた訳なのですが、結果として、この本を読んだことは正解でした。


今のアメリカでは(国家としては)どういう方向性で色々な決定がなされているのかを知っておくことは、アメリカの属国とも呼ばれる国に住むものとしては非常に大事なことと思います。 少なくとも日本の現政権を支持した人達には、どうしても一読しておいて欲しい本であります。


誤解の無いよう補足しますが、本書はネオコンを悪の勢力として捉えるものではないし、どちらか一方の立場から書かれたものでもありません。
保守、リベラルの思想的、政治的対立と協調の歴史という視点でアメリカの現在の成り立ちを説明した分かりやすい本としてお奨めできると思います。


アメリカ保守革命 (中公新書ラクレ)

アメリカ保守革命 (中公新書ラクレ)