独立FPの独白ブログ

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■怪しいと思ったらやっぱり

10年以上のお付き合いになるAさんから終身医療保険の加入申込みがあり、その内容について色々お話しをしているうちに、15年ほど前から継続している(他社の)保険に付いている入院保障の金額が少ないので、増やしたいというのがそもそもの動機だということが分かりました。


前から継続しているその保険会社の営業担当だというひとが最近しきりに新商品への切り替えを勧めに来ていたそうです。アポイント無しで何度も訪れてきては新商品に変えろ変えろと、あんまりしつこいので、これはどうも怪しいと思い、きっぱりと断ったのだという話しをしばらく前に聞いていました。 それをきっかけにAさんは保障額を見直すことになったようです。


今回、私を通して医療保険に加入するに当たり、保障の全体像を把握しなければ、無駄があったり不足があったりするので、いちおう加入済み保険内容のチェックをお奨めしました。
その上で、あらためて医療保険の打ち合わせでお会いすることにしたのです。


あらためてお会いすると、Aさんは
「いやあ、おどろきました、医療保障は60歳で終わってしまうことに昨日気がつきました」 と言うのです。
保障額が不足だと思って私に声を掛けてくれたので、その保障内容はとっくに把握されているものと思っていたのですが、入院給付金の額は知っていても、保障期間が60歳までということには全く気が付かなかったというのです。


そこで、その入院保障では中途半端なので、今回新規加入する終身医療保険の方を当初の予定より保障額をアップして契約することになりました。
ところで、15年前から継続中で、某営業担当さんが切り変えるようにとしきりに勧めていた保険の中身は、入院特約のついた「終身保険」でした。

それは、過去において最も予定利率の高い時代に加入した終身保険です。その保険を、なぜ、新商品に変える(転換だそうです)ように勧めたのでしょうか。
それはおそらく新商品に切り替えさせることが、その営業担当者の使命だからでしょう。
ほかに理由は思い当たりません。


ご自分の保険の保障期間の把握がまったくできていなかったこと、強く勧められる新商品への転換をおかしいと感じて断ったこと、どちらも同じ人の反応である点が、生命保険の世界の不思議さのひとつの現われとも思える出来事でした。


それにしても、高利率時代の終身保険や養老保険などを特に確たる理由も無く現在の低い利率の保険に切り替えることを勧める行為が、金融商品販売法などに規定される「適合性の原則」に即したことなのかどうか、是非ともご担当者に聞いてみて頂きたいと思うのです。
・・・・・溜め息が出ます。