独立FPの独白ブログ

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■清廉潔白を死語にするな!

真面目さが目立ちすぎると仲間から疎まれて孤立することがあります。
真面目にきちんとやっていても上手く生きられないのですから人間社会は難しいものです。
何事も度が過ぎるということが良くないようですが、そのあたりの加減というのは実に微妙なものであります。


あまりにも生真面目一方で組織からはみ出され、ついには職を失って浪人になってしまったある武士の物語が「柳田格之進」という落語になっています。
この噺は志ん生さんが若い頃講談師だったことから講談話を落語に取り入れたそうなので、古今亭一門の演目のようです。


結末の最終展開は出来すぎの感がありますが、日本人の心の底流にある清廉潔白さを主題にした「イイ噺」だと思います。清廉潔白さを「侍の意地」という武士階級の専売特許としてではなく、一般民衆である商人の中にも見出せるものとして表していることにも好感を覚えますし、話しの展開中の随所にちりばめられるユーモラスな言行が聞き手を飽きさせない、とても良い落語であります。


戦後の日本人が「物」や「マネー」と引き換えに失い続けてきた(または置き去りにしてきた)「心」や「誠意」や「潔さ」などの精神性を、今あらためて求め始める流れが、高度成長〜バブル崩壊〜長期経済停滞を経て最近あきらかに出てきていると感じています。

年初から噴き出すように次々と起こる経済事件からも、国民は何かの違和感を感じ始めていると思います。 近年の純愛ブームや泣ける映画とかクラシック音楽の流行なども、そういった置き忘れたものを思い起こそうとする指向の表れではないでしょうか。


肩肘張らずに、ゆったりとした気分で人間の情の機微を学び、生きる知恵も学べる、落語というものは実に素晴らしい限りですねえ。
より沢山の人が古典落語を聴くようになれば、世の中はもっと良くなると本気で思います。今の政権につく者たちには落語100題くらいは聞かせたいところです。
もう無駄かな??


柳田格之進/干物箱

柳田格之進/干物箱