独立FPの独白ブログ

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■ライブドア事件からの連想

ライブドア社長逮捕の報道で私が思い出したのは、数年前のアメリカ企業エンロンの事件です。株価を急上昇させるために粉飾決算や株式の不正取引をくりかえし、様々な不正を表に出さないように政界との癒着関係も利用して、成長を続けていたエンロンが不正経理の発覚を期に最後は破綻に至ったのです。


株価急上昇の恩恵を得るために、多くの年金運用ファンドなどがこの会社への投資を行いました。エンロンの社債をかなりの割り合いでファンドに組み込んでいた投資信託の保有者が不正発覚後に解約に走り、それまで事実上元本保証商品と考えられていたMMFの元本割れということで大きな社会問題ともなったこの事件が起きたのは約4年前のことでした。


実態をはるかに超えるような株価の上昇が利益を生み出し、その力で企業の買収と株価の上昇を繰り返し、インサイダー取引などの不正な行為で市場での力を強大なものにしていった、ということで、ライブドアとこのエンロンは似ているとの指摘もあるようです。


今、日本の政権が短期間で懸命に押し進めようとしている新自由主義の路線がこうした不正を呼び込みやすい体質を持っているのはどうやら間違いないようです。
結果の平等ではなく、機会の平等のもとで公正な自由競争が行われ、良いものが生き残ることこそが自由、平等の本来である、というのが自由主義を推進する人達の大義名分です。
しかし現実には、力を得たものは政治とも結びついて、平等なはずのルールを自分に有利な方向に作り変え、機会を独占し、大いなる不平等な競争によって不公正な利益を獲得して、その分配でますます力を持ってゆくという実態も無視できないのです。


もちろん、それが全てではないでしょうが、こういう怪物が育ちやすい環境であることは事実なのでしょう。金融市場で消えてはまた出現するこうした怪物の跋扈する姿は、自由だ、開放だと言っては他国の権利を平気で侵害し続ける国家のやりかたを象徴するような出来事なのですね。
ライブドアは不正を隠すだけの根回しをする段階にはなく、さほどの悪意を意識せずに、企業成長の単なるテクニックと考えて色々な手法を駆使していただけなのかも知れません。
本当のワルは摘発を免れる安全な位置にすでに身を隠しているのかもしれません。


それにしても、マンション投資や不動産バブルに水を差すような強度偽装事件が発覚し、マネーゲーム正当化の流れに警鐘をならすようなライブドア事件が起こり、米国盲従姿勢の政権を笑うがごとくに牛肉イイカゲン輸出問題が短期間に続けて発覚しました。
日本の国を守ろうとする神様があまりのことに呆れてお出ましになったのではないか、などと戯言を言いたくなってしまう、ここ1ヶ月の出来事です。