独立FPの独白ブログ

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■医療保険の選択肢:1

先日、某社の医療保険のコマーシャルを見て、またもやため息をつくことのなったので、その商品について触れましょう。その商品の特徴とは・・・
「保険料は60歳までで支払いが終わりますが、保障はなんと一生涯続きます」というものです。まるで今までには無かった画期的新商品のような触れ込みのこの保険は、実はさほど珍しいものではない普通の医療保険なのです。


終身医療保険がカタカナ生保会社などから発売されるようになってから5年ほどになります。  私の提携している保険会社4社の医療保険は保障は終身(つまり一生涯)であっても保険料の支払いは60歳や70歳などの短期払いを選べますが、発売当初からこうした品揃えになっていました。 私の保険アドバイスでは、終身払いと短期払い両方のご説明をしたのちには、殆どの方が短期払いを選択されます。(60歳以上のかたは少し事情が異なります)


少子高齢化の中で高齢者への医療制度給付が減らされて、逆に自己負担率や介護保険料や税金などの負担が増える傾向は当分続きそうですから、高齢になってからの生命保険や医療保険の保険料はできるだけ軽減する方向(なるべくならゼロになるよう)にしておくべきでしょう。


そうした背景にも関わらず、一部の保険会社では「保険料も一生払い続ける」タイプの商品を全面に押し出したPRを長年続けているように見えます。
CMでは「保障は一生涯続きます」と大声でアピールしても、「保険料は一生お支払い頂きます」とわざわざ強調することは皆無ですので、ほとんどの人はそのことに気付きません。
(保険料は一生上がりません、という表現はありますが)


大画面のハイビジョンなどでよくよく見れば「保険期間・保険料払い込み期間:終身」などとゴマ粒ほどの小さな文字が並んでいたりします。「保障を継続する限りは保険料も払い続けてもらう」方式では所謂「死差益の確保」がやり易いはずですので、このほうが保険会社としては安心なのでしょう。


しかし、上記の通りの社会背景であることが分かっている以上、保険料短期払いという方式も少なくとも選択肢に加えておき、老後の諸々のコストを鑑みたライフプランニングの中で商品選択をしてもらえるようにアドバイスするのがプロの仕事であるはずです。


保障期間も大事ですが、保険料払い込み期間もその次くらいに大切な要素だということをお忘れなく。


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