独立FPの独白ブログ

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カムイ伝全集刊行開始

書店でカムイ伝全集(全38巻〜白土三平画業50年記念出版)の第一巻が平積みされているのを発見して、なんとも郷愁に満ちた気分を味わいました。(買ってませんが…)


白土三平さんとの出会いは小学校4年生くらいのころの貸本屋さんでした。 初めて読んだ作品がなんだったのか記憶にありませんが、忍者旋風、剣風記、シートン動物記、あたりを学校帰りに貸し本屋さんで借りて帰っては読みふけっていたのでした。 カムイ伝が「ガロ」に連載開始されたのは1964年ですがが、その翌年に少年サンデーで「カムイ外伝」が、少年マガジンでは「ワタリ」が連載開始、この65年の10月には4年間月刊誌「少年」に連載されていた「サスケ」が最終回を迎えていますし、同じ年の夏から半年間は「忍者武芸帳・影丸伝」の新書版が毎月2冊づつ刊行されました。 空前の白土三平ブームでした。


毎月「少年」を買い、毎週「少年サンデー」を買うと、もう小遣いは底をつく状態ですから、なかなか単行本を買う余裕はなく、貸本屋さんには大いにお世話になっていたものです。1971年に完結したカムイ伝第一部は数年後、確か大学生になってから貸し本屋で連日借りて来て一機に読みました。
全巻を通じて、差別について、権力について考えさせられると同時に、まことに深い寂寞感に襲われた記憶があります。小学館のHPには、白土三平自身の健康の悪化と学生運動の衰退などの時代背景もあって第一部の結末には深い挫折感が漂っていた〜とあります。


カムイ自身は殆ど登場しない重く暗い純文学的歴史漫画の「カムイ伝」よりも少年サンデーに時々掲載されていた「外伝」の方が私は好きでした。(小学生〜中学生にはカムイ伝はちょいと早すぎた?)
外伝の方のカムイも抜け忍として、のべつ命を狙われ続ける逃亡の日々で常に暗い影を湛えているのですが、なんといっても「飯綱落し」や、「変移抜刀霞斬り」などのカムイの秘術がカッコヨク、純粋な忍者アクション漫画として毎回楽しみに読んでいたのです。
大人になってから復刻本などを少しづつ買い集めたものもあり、先ほどボロボロになって書棚に並んでいる白土三平さんの本を数えてみたら、合計47冊ありました。(カムイ伝はありません)


天才漫画家の寿命はまことに短く、手塚さん、藤本さん、石森さんなどが次々と60代で亡くなってしまいましたが、今は自然の中で暮らしておられる白土さんにはなんとか長生きして頂きたいと心から願っております。 カムイ伝第3部は描かなくていいですから、短編の剣豪ものなど少し描いて下さらないものか、などど願うのは私だけでしょうか。