独立FPの独白ブログ

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『分かり易い』はいいことだ・・・・・か?

昨夜、町田駅近くの飲み屋さんでの出会いは「本物ししゃも」との出会いだけではありませんでした。友人のA氏の先輩でフリーのコピーライタであるA・Tさんともお知り合いになれたのでした。コピーライターと言えば消費者向けの表現についてのプロ中のプロです。そこで、保険のCMについての意見をお聞きしたのでが、私としては色々と思うところが多く大変勉強になりました。彼の意見では、保険は生活に密着した商品であるので、分かり易さ、単純明快さ、お得感などを訴えないとアピール度は低いだろうということでした。


「深い知識や経験をもった誠実なるプロのアドバイザーがいて、そのご家族の人生について語り合うほどの信頼関係に基づいて、人生設計について検討することを通じてよい良い保険を組み立てることが可能になる」 という理想のコンサルティング営業の方針をアピールするCMをかつて私が所属していたS生命がTVで流しています。
もうひとつのCMではサッカー解説で有名なM氏を起用して少しドラマ性のあるものになっていますが、保険商品自体の特性や内容に触れたものは一切ありません。


保険商品そのものの内容が良いとか画期的だとかお得だとか安いとか、そういうことよりも、もっと大事なことがあると私は思っています。
保険の本来の目的であるところの家計上のリスクの分析から始めること、ライフプランを考えることから始めることこそが、理想の保険を探すためには不可欠でまっとうなやり方です。ですからこうしたコンセプトをアピールしているCMの考え方は正しいと私には思えます。


しかし、消費者がどう反応するのかということを常に考え続けている表現のプロから見ると、私に言わせれば大変に俗物的とも感じられるようなCMこそが訴える力が強いというのです。 5年ごとにボーナスが戻ってくるなんて素敵!! とか、一日わずか178円でこんなにでっかい保障がついていてお得! とかいうやつです。
保険商品の広告に関しては、あのような分かり易さ、単純明快さこそインパクトがあるのだというご意見なのです。


こういうことを考えるとすぐに思い出すのが、先の衆議院議員選挙での小泉氏の「賛成か反対か」戦略のことです。 あの戦略にまんまを乗った人達(色々な背景を分かった上で政治的必要を感じて冷静に判断して投票した人を除いて)、イメージだけで小泉政権支持の投票をした人達が、その後出てきている米軍基地の問題や増税計画や改憲問題や牛肉輸入のことやイラク駐留のことや原子力空母のことや内閣人事のことや共謀罪のことや日中関係日韓関係のことや何やらカンやらについてはどのように思っているのでしょうか。


「賛成か反対かという単純な問題ではないのです」 と長いセンテンスで訴えようとした岡田民主党の惨敗ぶりは、明らかに「単純明快」戦略のほうが有効だったことを示しています。
しかし、それで本当に良いのでしょうか。
プロのご意見は貴重なものとして受け止めて、検討すべきと思っていますが、だからと言って、保険のPRが分かり易いだけでOKとは私には思えません。しかし、耳を傾ける人がいなければどんな価値ある情報も意味を持たないのは事実です。
このあたり、ホームページやブログを通じてアピールしてゆく上において、私にとってはいつまでも課題であることでしょう。