独立FPの独白ブログ

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本日のFP相談は保険の見直し

今日の相談は保険の見直しでした。 その方の友人が、私から教わった良い保険に入っているのだというご紹介でお会い頂くことになったのですが、私はその方が良いと思う保険が誰にも良いわけではありません、という話しから始めました。


私からは定期保険、養老保険、終身保険の3つの基本形とか医療保険ガン保険などの仕組みや、各保険種類の一般的なメリット&デメリットについてお話しをしました。
そして、保険期間や保険料払い込み期間にはどれだけの選択肢があるのかということと、ライフプランニングによってあぶり出したリスクを認識して、どんな保険を利用してそれらをカバーすることが可能かという方法論についてご説明しました。


そのご夫婦は自分たちの加入済みの保険はどうなっているのかを確認し始めました。
そのご家族では全部で10件の生命保険に加入していましたが、結論だけ言いますと、殆どの保障が期間10年の定期の保障であり、今から5年で切れるものや7年後に期間満了となるものばかりなのでした。


そこで、なぜ保険期間を10年にしたのですかとお聞きすると、よく覚えておられないようでした。
その後の保障は不要なのですかとお訊ねすると、下の子供がまだ小学生なので、あと数年で保障が終わってしまうのでは困るのだということでした。 ではなぜ10年になっているのでしょう。


定期保険は通常自動的に更新することになっており、保障が知らぬうちに終わってしまうことはありませんが、満期時に更新した後の保険料は当然ながらその時点の年齢での計算になります。
契約時点のお子さんの年齢が3歳なら10年の定期保険では13歳で満期が来ます。
その後もさらに保険を継続するには、お父さんが10歳分年齢アップした保険料での再スタートということになります。


3歳のお子さんがせめて大学を卒業するまでは保障が必要だというのなら、保険期間は特別な事情が無い限りは20年以上は必要なはずですが、どうして10年なのでしょうか。
10年後に保険料がアップした場合の20年間の合計額は、多くのケースで初めから20年の保険に加入した場合の保険料合計金額を上回ります。
お子さんが結婚するまでは保障しておこうと考えれば25年とか30年の期間が必要になるでしょう。
なぜ、10年なのでしょうか。 ひょっとして10年という定期保険しかないのでしょうか。


定期保険では通常様々な保険期間の選択ができます。5年、10年、15年、20年、25年・・・・・・最近では80歳、90歳などもあります。
その選択肢のなかから、どんな理由で選ばれた10年だったのか、そのご夫婦からはその理由を明確にお聞きする事はできませんでした。


将来の予測は誰にもできませんので、3歳のお子さんのための保険であっても、とりあえず10年くらいの保険にしておいて、10年後には改めて諸事情を勘案して検討する、という考え方もあって良いと思います。
しかし、少なくとも保険期間について複数の選択肢が提示された上で検討されるべきだということには異論はないでしょう。 そしてまた、どうしてその内容にしたのか明確でない、ということ自体が大変な問題なのではないでしょうか。


ご主人の保険も奥さんの保険も、死亡保障も医療保障も、子供の保険までも、全てが期間10年の定期保障などということは私の経験ではほとんど無い事です。


私は、ご夫婦が保険に何を期待するのかなど、色々なお考えをあらためてよくお聞きして、その上でご検討のためのたたき台を次回お持ちするということにしてお別れしたのでした。
今度は色々なことをよく考えてじっくり検討して決める、とそのご夫婦は仰っていました。


目で見て比べることができない商品の代表とも言える保険こそ、選択肢の存在を確認し、その選択のための判断基準をよく知った上で検討することが必要なのですね。

シロかクロか、どっちにしますか? とものごとを徹底的に単純化して決断を迫る、というセールステクニックのための選択肢ではなく、利用者の利益の最大化を目指しての選択肢の提示が必要なのです。